人々が「現実」として認識し、共有しているセカイ。それを人々が観るテレビ番組にたとえるなら、玉座は、その放送局のようなものである。数多あるすべてのセカイの生滅を司り、その運行を自由に書き換える力が、ここにある。他方、一つのセカイの中で生涯を完結する、大多数の人々にとっては、玉座の存在自体が不可視であるため、セカイは自律的に回っていると信じられている。チャンネルを切り替え、セカイ間を「移動」できるA.L.I.C.E能力者だけが、コペルニクス的な意識の転回とともに、玉座の存在を識ることになるのだ。